クラウド会計の種類と選び方

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クラウド会計の種類と選び方
クラウド会計

※引用:デジタルインファクト

クラウド会計とは、インターネットを使用できる環境があれば、いつでも、どこでも会計処理を行うことができる、会計システムであることを、前回のコラムで確認いたしました。今回は、クラウド会計を実際に使用するにあたり、クラウド会計ソフトの種類と選び方について確認したいと思います。

クラウド会計の市場シェア

クラウド会計ソフトには、いくつかの種類がありますが、以下の主要5社で、2016年2月時点クラウド会計市場シェアの98%を占めており、上位3社のシェアは83%を占めます。

1. freee(フリー): クラウド会計ソフトfreee(個人事業主・法人) シェア43.7%
2. 弥生会計: やよいの白色申告オンライン、やよいの青色申告オンライン、弥生会計オンライン シェア28.4%
3. MFクラウド(マネーフォワード): MFクラウド確定申告(個人事業主)、MFクラウド会計(法人) シェア10.5%
4. 株式会社パイプドビッツ: ネットde会計 シェア10.0%
5. 全国商工会連合会: ネットde記帳 シェア4.8%

上位3社のシェアがクラウド会計のほとんどを占め、パイプドビッツ、商工会、TKC、ハイブリッド会計Crew(クルー)などのクラウド会計は、金融機関との同期などの機能が不十分であることから、当会計事務所では、freee、MFクラウド、弥生会計オンラインを取り扱っております。

freee(フリー) ※個人・法人共通

やよいの青色申告・白色申告 ※個人

弥生会計オンライン ※法人

MFクラウド(マネーフォワード) ※個人・法人共通

クラウド会計ソフトを選ぶ際のポイント

クラウド会計ソフトを選ぶ際の主なポイントには、以下の様なものがあります。

1. 使用している銀行口座、クレジットカード、電子マネー、POS等との自動同期に対応しているか?
2. 自社の事業・経理に必要な機能が備わっているか?
3. UIは優れているか、画面は見やすいか、分かりやすく使いやすいか?
4. 料金は適正か?機能を踏まえた上でのコストパフォーマンスは優れているか?
5. サポート体制は充実しているか?
6. 確定申告との連携はスムーズか?税理士・会計士が対応しているか?

使用している銀行口座、クレジットカード、電子マネー、POS等との自動同期に対応しているか?

まず、クラウド会計ソフト選択で最も重要となるのが、銀行口座、クレジットカード、電子マネー、POS等との自動同期です。
クラウド会計では、銀行口座、クレジットカードなどの取引を自動で取り込み、自動で内容をある程度判断して経理処理をしてくれます。
この自動同期がスムーズに行われるか否かが、クラウド会計の力を最大限に発揮し、経理にかかるコストと時間を最大限にカットできるかを左右します。
freeeや、MFクラウドでは、ほとんどの銀行口座、クレジットカードに対応していますが、弥生会計では対象金融機関や同期の方法が異なるので、注意が必要です。
クラウド会計ソフトを選ぶ際には、まず、無料期間で使用している銀行口座やクレジッドカードの取引情報を取り込むことができるかを試してみると良いでしょう。

freee_bank

自社の事業・経理に必要な機能が備わっているか?

次に注目すべきポイントは「自社の事業・経理に必要な機能が備わっているか」です。
freee、弥生、MFクラウドの上位3社であれば、基本的な経理の機能は必要十分ですが、例えばMFクラウドでは見積書・納品書・請求書機能の利用に追加料金がかかるのに対し、freeeでは無料・無制限で利用可能など、各社細かい部分で差別化がされています。
ほかにも、決算書作成機能に別料金がかかったり、スマートフォンアプリの有無や、給与計算ソフト、確定申告ソフトなどの連携機能の有無もあります。
「将来的に社員を雇う予定だから、今は一人だけの個人事業主で給与計算は必要ないけど、給与計算できるクラウドツールがいい」といったケースもあるかと思います。
クラウド会計ソフトは常に進化していますので、昨年までにはなかった便利な機能が次々と追加されていきます。freeeは特にその進化のスピードが凄まじく、給与計算や確定申告、電子保存といった機能が次々にアップデートされていっています。
現時点で絶対に必要な機能と、これからの発展性を踏まえてクラウド会計ソフトを選ぶことが良いでしょう。

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UIは優れているか、画面は見やすいか、分かりやすく使いやすいか?

次に注目すべきポイントは「ソフトの使いやすさ」です。
基本的に、クラウド会計は、経理の初心者でも使いやすく設計されており、従来の会計ソフトよりも見やすく使いやすいと思う方が多いと思います。
一方で、従来の会計ソフトに慣れている方は、今までのインターフェイスと大きく異ることから、使いにくいと感じる方もいるかもしれません。
個人事業主や、会社を設立して間もない社長さん、ITに慣れ親しんだ若い世代の方々には、クラウド会計は使いやすいかもしれませんが、従来の会計ソフトを長年使用し、複式簿記に慣れている方は、クラウド会計は使い難いと感じる方もいるようです。
クラウド会計ソフトごとに入力方法や、画面の設計が異なっておりますので、この点についても余裕がある方は、無料期間を利用して使い勝手を比較すると良いでしょう。

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料金は適正か?機能を踏まえた上でのコストパフォーマンスは優れているか?

次に注目すべきポイントは「価格・コストパフォーマンス」です。
クラウド会計ソフトは大変コストパフォーマンスが優れております。
クラウド会計ソフトの利用はどれも低価格で可能ではありますが、当然少しでも安く、機能も充実しているものが良いでしょう。
それぞれに価格プランやオプション、基本機能が異なりますので、価格と機能を合わせて、コストパフォーマンスの観点から、クラウド会計ソフトを検討しましょう。

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サポート体制は充実しているか?

次に注目すべきポイントは「サポート体制」です。
クラウド会計を提供する事業者によってサポート体制も様々です。
例えば、freeeやMFクラウドにはチャットサポートがありますが、弥生会計オンラインにはチャットサポートが無くメールサポートであったり、ネットde会計はサポートが項目によって料金が決まっているポイント消費制であったりと、サポートの体制、質問のしやすさ、レスポンスの速さ、対応の良さに差があります。
クラウド会計導入当初はやはり分からないことが多く、アップデートも多いクラウド会計では、サポート体制の充実は重要な点です。
クラウド会計では、基本的には電話での質問には応じてくれる事業者は少ないのが現状でありますが、ユアクラウド会計事務所では、電話での質問・サポートにも対応しております。
ユアクラウドのサポートを活用することで、クラウド会計をより効率的に簡単に利用することが可能となります。

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確定申告との連携はスムーズか?税理士・会計士が対応しているか?

最後のポイントは「確定申告と税理士・会計士対応」です。
このポイントを理解するためには、まず、財務会計と税務会計の違いを理解する必要があります。
クラウド会計ソフトが提供する会計とは、基本的に財務会計と呼ばれる、企業の財務状況・経営状況を見るための会計であります。
これは、一般的に経理と呼ばれているものであり、商品が売れれば、売上を記帳し、商品を購入すれば、仕入を記帳するといったものです。
一方で、事業を営む上では、財務会計だけでなく、確定申告をして税金を支払うための税務会計が必要となります。
この税務会計では、税務会計において出来上がった決算書・財務諸表をさらに修正する必要があります。
これは、税務会計においては、財務状況・経営状況を適切に反映するだけでなく、その年ごとの税法を反映した特別の要請があるためです。
この税務会計の処理は、一般的な経理だけの知識では難しく、クラウド会計ソフトだけでは基本的には対応できないことから、他の税務申告ソフトとの連携や、税理士・会計士に依頼をすること必要となります。
現在の主要なクラウド会計(freee、MFクラウド、弥生会計)では、標準では法人税申告書の作成は未対応であるため、次のいずれか方法で、決算期末から2ヶ月以内に法人税の確定申告書を作成し、確定申告を行う必要があります。

  • クラウド会計に対応した税理士・会計士に依頼する
  • 作成した決算書データを「法人税の達人」や「A-SaaS」等の税務申告ソフトへと連携させる
  • 作成した決算書データをその他の法人税申告ソフトへ手動で転記する

いずれのクラウド会計ソフトも税務申告ソフトとの連携は可能ではありますが、どのソフトと連携ができるか、または、連携がしやすいかは異なることから、自ら税務申告を行おうと考えている場合には、どの税務申告ソフトとの連携が可能かをチェックしておく必要があります。
税務申告・確定申告については、税理士・会計士へ依頼しようと考えている場合には、依頼しようとしている税理士・会計士がクラウド会計ソフトを取り扱っているかという点をチェックする必要があります。
クラウド会計ソフトの利用者は急激に増えてきていますが、クラウド会計ソフトに対応できる税理士・会計士はまだまだ少ない状況です。
決算時期が近づいてから焦ることのないよう、クラウド会計ソフトの導入の際には、確定申告についてもしっかりと考えておき、税務申告ソフトの準備や、税理士・会計士との連携をしっかりと取っておきましょう。

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次はクラウド会計ソフト違いを実際に比較してみましょう

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